富士山のように見えなくもない?

松永です。


19世紀中頃からヨーロッパでは
ジャポニズムとよばれる日本趣味が
流行しました。


その洗礼を受けた画家の中に
アンリ・リビエールがいます。


彼は浮世絵の多色木版画を研究し
独学で身につけます。



そして多色リトグラフも開発し
版画表現の幅をひろげることにも
おおきく貢献しました。


浮世絵の影響を受けた画家で有名
なのはゴッホ、モネ、ドガです。


アンリは油絵ではなく
浮世絵とおなじ木版画で作品
を制作しました。


そういう点で他の画家とは
一線を画しています。


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彼は北斎の『富嶽三十六景』を
ヒントに『エッフェル塔三十六景』
を制作することにしました。

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主題の塔を前景でかくしたり
どこにあるかわからないぐらい
小さくしたりしています。


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浮世絵の構成とそっくりです。

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エッフェル塔は1887年から
建設がはじまっています。


1888年にはすでに
この姿になっていました。



この姿をみて彼は
こう思いました。


「富士山とおなじ形じゃん!」


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北斎の富士とエッフェル塔が
ピタッと一致したのです。

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この年から4年をかけて
『エッフェル塔三十六景』は
制作されました。


完成していない塔の図や
塔で高所工事をしている場面もあり
リルタイムでの制作だったことが
よくわかります。






富士山そっくりですね。


アンリは写真家でもあり
工事中の塔にのぼって撮影し
それを絵につかいました。

かなり危なっかしいですが
命綱はあるのでしょうか…。

ぜんぶ多色刷木版の予定でしたが
最初の2点だけで残りはリトグラフ
になりました。

簡単で細部の描写が
しやすかったからです。


日本のように彫師、摺師のプロが
いなかったからかもしれません。


塔は1887年に建設が始まり
わずか2年で完成しました。


1889年開催の万博に間に合わせる
ためだったそうです。



ちなみに突貫工事だったにも
かかわらず事故死者は1名でした。


優秀な職人による少数精鋭と徹底した
安全管理のおかげだみたいです。

このようにして高さ324mの
世界一高い建造物が完成しました。


アンリが『エッフェル塔三十六景』
を500部限定で出版したのは
塔が完成して3年後の1902年でした。



*31年後の1930年エッフェル塔は
クライスラービル(319m)に
1位の座をゆずった。

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