絵を構想する段階でかならず決めなくてはいけないこと、それはモチーフと構成です。今日はこの2つの要素について考えてみましょう。
【モチーフ】
リンゴや瓶、人物など描く対象をモチーフと言います。まずモチーフを決めなければ絵は始まりません。
モチーフとはフランス語で動機、理由、主題です。にた言葉に英語のモチベーションがあります。
描く対象のことであり、その対象は描きたいという動機を与えるものになります。
例えば猫を描くとします。描くことへの意欲がわかない状態であれば描きません。その意欲は何でもいいのです。
言葉にすればカワイイ、美しい、生命、面白いなどとなるでしょうが、じっさい言葉では捉えにくいものです。とにかく「描いてみたい」と思うから描くのです。
「どのようなものでも絵になる」という考え方がありますが、それはありきたりのものの中に描く動機を見つけ出しなさいということだと思います。
構成の勉強のために石膏像などを描くのは嫌だなと思う人はその石膏像に魅力を感じていないと考えていいでしょう。
【構成】
構成とは画面上におけるモチーフの大きさと配置のことです。
1つのリンゴを描くときに、どこに置くかを考えるのですが、同時にどれくらいの大きさかも決めます。
それには正解がないので、自分の考えで決めなければなりません。
モチーフがいくつもあるときは構成はかなり複雑になります。モチーフ同士の関係も出てくるからです。
複数のものを描くときにはテーブルの上にモチーフを並べる段階から構成と呼びます。
どんな配置にするか考えるのですがこれがけっこうやっかいです。モチーフを組めたら一人前といってもいいぐらいです。
適当に置けばいいものではないことは実際モデルを組んでみるとわかります。まったくできないことに唖然とするのです。
静物画によって絵画の理論を研究したことで知られるセザンヌは皿が斜め上から見えるように下に物を置いたりしました。それぐらい気を使うわけです。
その点、風景画は構成にはあまり時間がかかりません。構成のよいところを選ぶからです。画面にどう入れるかを決めたら構成は終わります。
しかし、魅力的な風景はかんたんに見つかるものではありませんから足でかせぐわけです。同じ風景を見ても、素通りする人、感動する人それぞれです。アンテナの感度がいい人がいい場所を見つけます。
旅行先で画家が描いた風景を見にいくと肩透かしをくらうことが往々にしてあります。それは画家と感じ取るものが違うからです。私たちは客観的な目ではなく心で見ているのです。
印象派の風景画も適当に選んだわけではなく、精選されたものです。「何気ない日常」「見慣れた風景」を描いたと表現されることもありますが、やはり画家にとっては特別なモチーフであったわけです。
【構成までが8割】
モチーフの選択と構成が8割です。あとの2割は色彩、質感などの描写になります。モチーフ、構成がよくなければ、どんなにきれいな色合い、質感であってもよい仕上がりにはなりません。
室内のインテリアコーディネートを例にして考えるとわかりやすいでしょう。
「モチーフ」は棚、ソファーなどの家具、観葉植物、壁にかけた絵画、カーテンなどです。北欧、アメリカン、和などそれぞれの統一感がでるように選ぶはずです。
「構成」は室内でのモチーフの配列です。導線がなめらかで、ほどよいリズムを感じさせるのがいいでしょう。アクセントになる絵や植物の置き方でも雰囲気が変わります。
質感や色で各具を選んでいくとちぐはぐになりますから、おおまかにでも全体としての統一感をもって選んでいく方がいいのです。
大事なことをいい忘れていました。
モチーフ、構成はキャンバスに描く前に決めておくもので下絵用の紙にしっかりと描きます。いきなりキャンバスに描きはじめるのは、習作に限ったほうがいいでしょう。
今日のテーマであるモチーフと構成についてお話しました。
構成についてはさまざまな理論や方法があり、それらを知ることで構成の問題はほぼ解決します。
メルマガで語るには膨大な分量なので、もっと知りたいならばこれを見るといいでしょう。
どこにも書いていない秘訣がギッシリ詰まっています。
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