浮世絵の楽しみは
何といっても絵です。
絵師、彫師、摺師の分業によって
1枚の絵にまとめられた名画を
じっくり味わうことです。
でも、絵のほかにも気になる
ところはないでしょうか。
私は、あることがずっと
気になっていました。
それは、
絵の隅に書いてある文字です。
あれは何だろうと子どものころ
から疑問に思っていました。
やがて絵師の名前や題名など
であることがわかりました。
200年前の文字ですからとても
わかりにくいです。
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旧字体
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と呼びます。
ですので、いちいち調べないと
いけません。
古代文字の解読をしているようで
楽しいところもありますが
時間がかかります。
新字体を旧字体に変えると
こうなります。
「画」→「畫」、「図」→「圖」
「図画」→「圖畫」
まず読めません(^_^;)
神奈川沖浪裏の絵師は北斎です。
画中にはこのように書いてあります。
雅号(がごう)のようですが
文字そのものがよめません。
※雅号:画家のペンネーム
ほんとうに北斎の絵なのか
うたがいました。
ほかの絵も調べました。
なんとなくですが北斎の雅号
「為一」らしきものが見えます。
漢字だけではなく
かな文字もやっかいです。
このころのものを
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変体仮名(へんたいがな)
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と呼びます。
〈 喜多川歌麿、絵入狂歌本『潮干のつと』部分 〉
もはや暗号です(笑)。
読む気にすらなりません。
今も使われている場所があります。
「きそば」と読みます。
浮世絵の中にある文字を
現代文に直したものがあれば
ほしがる人はいるでしょうね。
まず私は買います(笑)
・旧字体の漢字
・変体仮名のひらがな
これだけで読むことは
じゅうぶんムズカシイことが
おわかりかと思います。
それに追いうちをかけるのが、
くずし方によって字形がかわる
うれしくないバリエーションです。
同じ文字をたてがきにしています。
おなじ字には見えません!
ちなみに「前節遊」と書いてあります。
当時は今でいう新聞号外である
「かわら版」がありました。
ということは江戸期の民衆は
読めたことになります。
ハイレベル教養があっての浮世絵
だったかもしれませんね。
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